「着物を着てみたい」と思った時、どのお店で着物を購入するかははじめに悩むポイントです。
着物を買えるお店はなんとなくわかっていても、色々なお店があるのでどこをえらべばいいのか
特に高級な雰囲気のある呉服店などは入るのにちょっと勇気が。わからないままで押し売りや勧誘などがあったらどうしようかと不安になります。
今回はそんな方のために、着物の購入で後悔しないための「お店の選び方」について解説します。
着物を買う際の注意点なども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
着物を購入できる店

着物を買えるお店には、大きく分けて5つの種類があります。
新品を購入できる店に加えて、現代ではフリマアプリなどで中古の着物を購入する方も増えてきました、ここでは、購入できる店ごとの特徴をおおまかにおさえておきましょう。
ポイント
- ネットショップは知識のある人向け
- 着物は基本オーダーメイド、中古品は仕立て上がりのサイズに注意!
デパートなど百貨店
大手デパートや有名百貨店には、必ずといっていいほど呉服店が入っています。
デパートにある呉服店では、老舗問屋や有名メーカーから仕入れる高品質な商品ラインナップが特徴です。百貨店品質の確かな着物が手に入ります。
また、着物や帯はもちろん着付け小物や和装小物にいたるまで着物に関わる基本的な商品が幅広く揃っているため、きちんとした品質で一から着物をそろえたい方にもおすすめです。
店員さんも、デパートの接客基準に応じた信頼のできる対応をしてくれる方がほとんどです。
地域の呉服店
地域の商店街などに1店舗はある昔ながらの呉服店。
呉服店はいわば着物のセレクトショップです。店主のセンスで選ばれた着物や帯が店内に並びます。自分の好みに合うラインナップの店に出会えたらラッキーです。
地元に根付いた呉服店は、着物に関することならなんでも相談できる駆け込み寺のような存在。着物のお手入れやほつれなどのお直しなどの相談もできる心強い存在です。ちょっとした着物の悩み事にも親身になって応じてくれるアットホームなお店が多い傾向にあります。
チェーン店の着物屋
全国に店舗を展開するチェーン店の着物屋さんもあります。
ショッピングモールなどに出店していることが多く、買い物のついでに気軽に入りやすい雰囲気が魅力です。
価格が百貨店や呉服店に比べてリーズナブルな場合が多いのも特徴。会社によってはオリジナル着物を製作しており、お求めやすい価格で販売されています。着物はじめてさん用の一式セットなどが低価格で売られていることも。着物の入口におすすめです。
ネットショップ
近年、ネットで着物を購入できるオンラインショップも増えています。
「呉服店に入るのに勇気がいる」という方は特に若い年代で多いのではないでしょうか。「押し売りされた」「試着したらいつの間にか買わされていた」という口コミはネットでもよく目にします。その点では、店員さんと接することなく画面上で買い物ができるネットショップは気軽です。
しかし、購入前に試着ができないことや、着物選びに悩んだ際に店員さんにアドバイスをもらえないという難点も。自分に似合う着物や品質などについて、ある程度の知識のある人向けの購入方法です。
【番外編】リサイクルショップやフリマアプリ
中古の着物や帯を購入できるリサイクルショップやフリマアプリを利用する方もいます。
特に、近年フリマアプリの流行から中古着物の個人取り引きも人気を集めています。
安い値段で気軽に着物を買えるので、着付けの練習用などにお得に着物を手に入れたい方にはおすすめ。
ただし、中古品の場合は仕立て上がりのサイズに注意をはらう必要があります。自分に合った着物のサイズをしっかりと把握した上で購入にのぞみましょう。
これで失敗なし!お店選び5つのポイント

後悔しない着物購入のために、お店選びは重要なポイントです。
せっかくなら一生大切に着られる着物を誂えたいもの。
着物の品質が良いことはもちろん、店員さんの雰囲気やお手入れなどのアフターサービスまで考慮してお店を選びましょう。
次に、お店選びのポイント5つを紹介します。
着物や帯の品質が良い
着物を購入する時には、品質の良い商品があるお店を選ぶのがポイントです。
高品質の着物や帯であれば長く大切に着られるため、最終的にコストパフォーマンスが高く感じられます。
ポイント
一般的に、高品質な着物=生地や染めが上質なことです。
生地はもちろん絹100%が最高級。触った際にしっかりと厚みの感じられるものほど上等です。
染めの見極め方は難しいですが、発色が良すぎたり、友禅の糸目(白い線)が柄の周りにない場合はインクジェットプリントの安価な着物の場合があるため要注意。生地の裏まで柄の色が染みている着物であれば、職人の手作業で染められた手のこんだお品であることが多いです。
良い染め&良い生地の着物や帯は、着姿に高級感が表れます。どんな場所にも堂々と着て行くことができます。
また、着物は洋服とちがって流行り廃りも少ないもの。高品質かつ伝統的な色柄の着物を選ぶことで、一生にわたって長く着用することが可能です。子どもや孫の代まで3代で着られるケースも珍しくないため、思い出とともに後の世代に受け継ぐことができます。
好みの商品がある
店に置いてある商品が好みの雰囲気かどうかも欠かすことのできない基準のひとつ。
店のHPやショーウィンドウを見れば、扱っている着物や帯のテイストが何となくわかるものです。伝統的な古典柄のかっちりした着物を着たいのか、デニム着物や今風の着こなしなどに興味があるのかで、選ぶ店も変わってきます。
特に個人の呉服店は店主のセンスにより商品ラインナップがまったく異なるため、可能であれば一度店内に入り雰囲気を確認するのも良いでしょう。
料金設定が妥当
決して安い買い物ではない着物は、料金設定もお店を選ぶうえで気になるポイントです。
着物は全く同じ色柄の商品がどの店にも置いてあるということがないため、料金を比較しにくいのが難点です。しかしオンラインショップなどを参考に、事前に欲しい着物や帯の相場をおおまかに把握しておくことは大切といえます。
例えば気軽なお出かけ着である「小紋」の場合、デパートや呉服店で購入するなら約20~50万円、ネットショップや古着であれば約1~10万円が相場です。
着物の種類や品質、購入する店によって価格はピンキリですが、着物について調べる内に見る目が養われていきます。次第に商品の品質に見合った料金設定かどうか判断することができます。
店員さんに接しやすい、雰囲気・対応がよい
着物選びの相談にのってくれる店員さんの印象も重要視したいところ。
着物や帯には多くの種類があり、染織方法やコーディネートなども実にさまざまです。
着物について詳しい知識があり、さらに感じよく丁寧に説明してくれる店員さんの存在は心強いものです。
また、店員さんが押し売りのような強引な売り方をしないかも大切なポイント。納得のいく買い物をするためにも、相性のいい店員さんと出会えたお店で着物選びをするのがおすすめです。
アフターサービスがある
着物は購入後もメンテナンスが必要不可欠なので、アフターサービスが充実した店を選ぶことも大切です。
着物は洋服とちがい自宅で洗濯することができないため、専門家にクリーニングを依頼することになります。例えば「食事の際に着物にシミがついてしまった」「たくさん汗をかいた」といった場合には、適切なお手入れをしてから保管しないとシミやカビの原因に。
着用した後のシミ抜きや汗取り、クリーニングなどのお手入れをすべておまかせできるお店を選びましょう。着物の縫い目がほつれた際の「ほつれ直し」や、体型が変わった時に着物のサイズを直す「寸法直し」や「仕立て替え」なども相談できるお店がベスト。
一般的に着物を扱っているお店ならばお手入れや仕立ての相談にのってくれることがほとんどですが、オンラインで買い物をした場合は難しいケースもあるので注意が必要です。
【豆知識】着物の料金相場を知るには?

着物の値段は定価があるようでなく、料金相場がわかりにくいのが難しいところです。
だいたいの相場を把握するにはどうしたらいいのでしょうか?
ネットで下調べをするのも大切ですが、自分の目で商品と値段を確認することも重要です。
まずは3店舗ほどまわってみよう!
おすすめなのが、着物を扱うお店を何店か訪れてみることです。
3店舗ほどまわってみて並んでいる着物や帯の値段を確認することで、だいたいの相場感がわかります。
大切なのは、用途やランクが同じくらいの商品を比較すること。例えば「子どもの入学式で着ていく訪問着」や「同窓会などにおすすめの小紋」などを店員さんにおすすめしてもらい、出された商品の金額を比べてみましょう。数点まわる内に、料金相場の目安が段々とわかってくるはずです。
その際に好みのテイストの着物を扱っているか、また店や店員さんの雰囲気がどうかも同時に検証してみてくださいね。
着物を購入する際の注意点

ポイント
- 最初は下見
- 展示会は経験を積んでから
- 着物は基本オーダーメイド
次に着物を購入する際の注意点を紹介します。
着物を買う時はどんなことに気をつけたら良いのでしょうか?
店を訪れる際のポイントやネットで買う時に注意すべきことをおさえておきましょう。
最初の来店時は「下見」を強調しよう
一番はじめに店を訪れる際には、どの店でも「下見」であることを強調しましょう。
「買いに来ました」という雰囲気を出し過ぎると熱心に着物を勧められてしまうことも。あくまで今回は下見であることを事前に伝え、まずはどんな商品が置いてあるか確認する程度の気楽な姿勢で来店することが大切です。
入口として足袋や草履バッグなどの和装小物を買いに行くのも良いでしょう。小物購入時に店の雰囲気や商品ラインナップ、価格帯などを確認することができます。自分に合った着物選びができそうなお店かどうか見極められたら、次回来店時に着物や帯を試着してみるのがおすすめです。
展示会は経験を積んでから
着物を販売している店の多くが定期的に「展示会」を開催しています。
展示会というのは、主に店舗ではなく大きな会場を貸し切って着物や帯を販売する「展示販売会」のことです。イベントホールや雰囲気の良い料亭などで行われることも。
沢山の商品が集まるうえに、着物や帯の染織作家さんの実演などが見られることもあり、着物好きにはたまらない空間です。
しかし、展示会は会場を借りる費用がかかるうえに、作家さんや着物を試着させる販売アドバイザーさんの旅費や人件費が商品価格に上乗せされている場合も多くあります。店で見るより着物や帯の値段はどうしても高くなりがちです。
さらに、展示会の雰囲気にのまれて本来買う予定のない着物や帯を買ってしまい後で後悔するケースも。昔のように「展示会で囲まれて買うまで出られなかった」ということは滅多にありませんが、非日常の空間だと判断能力が鈍ることもあるので注意が必要です。
そのため、はじめての店の展示会に行くのは避けた方が無難と言えるでしょう。店に何度か通い、店員さんと信頼関係を築いてから展示会にチャレンジするのがベターです。
商品の品質や料金相場の知識をある程度身につけてからであれば、展示会も過度に怖がる心配はありません。興味のある作家さんや商品が特集された展示会に行くことで、運命の一着に出会えることもあります。
ネットで着物を買う時はサイズに注意
オンラインショップやフリマアプリなど、ネットで既製品の着物を買う際にはサイズ選びに注意が必要です。
着物のサイズは基本的にオーダーメイド。既製品であっても自分のサイズに合った着物を買わないと、着姿が美しく決まらなかったり着崩れが起こりやすくなります。
また、着物のサイズは特殊で素人には測ることが難しいものです。例えば裄=腕の長さ は背骨から腕をななめ45度に伸ばした状態でメジャーで測定する必要があったりと、自分一人では正確な採寸ができません。
ネットで着物を購入する前に、事前に着物販売店へ行きプロに採寸してもらうのもひとつの手段。
「これから着物を買うために自分のサイズを知っておきたい」と伝えれば、喜んで採寸してもらえるはず。
自分に合った着物のサイズさえしっかりと把握しておけば、ネットで気に入った着物の生地を購入し和裁士さんに縫ってもらうことも可能。着物を作る際にさまざまな場面で役立ちます。
まとめ
着物の購入は洋服とちがいはじめてだとわからないことが多く、不安はつきものです。
高価な着物を買ってしまった後に後悔することだけはしたくないですよね。
今回は、お店選びのポイントや着物を購入する際の注意点、料金相場の把握方法などを解説しました。記事に書かれた内容を確認してからお店選びをはじめることで、安心して着物の購入に踏み出すことができますよ。
まずは自分に合ったお店や信頼できる店員さんを見つけて、ぜひ着物選びを楽しんでみてください。